Arhangel'skiĭの不等式

アルハンゲルスキーの不等式です(カタカナで書いておけば検索した時にこのブログがヒットするようになるかなと思って加筆しました)。

 

Beautiful Inequalityと言われているらしいです。日本語で読める証明って結構探さないとない(ってかあるの?)と思うので書きます。

 

 

 

 

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【定義】

{X}位相空間とする。

・各{x\in X}に対して、{x}の基本近傍系の濃度の最小値を{x}での近傍濃度または指標といい、{\chi (x , X)}で表す。

{\chi (X) = \min \{ \chi (x, X) : x\in X\} }と置き、これを{X}近傍濃度または指標という。

・次を満たす濃度{\mathfrak{m}}の最小値と{\aleph _0}の大きい方を{X}リンデレーフ数と言い、{L(X)}で表す;{X}の任意の開被覆は濃度{\mathfrak{m}}の部分被覆を持つ。つまり

 {L(X)=\aleph _0 + \min\{ \mathfrak{m} : \mbox{任意の開被覆}\mathcal{U}\mbox{が濃度}\mathfrak{m}\mbox{の部分被覆を持つ} \}}

 

【定理:Arhangel'skiĭの不等式】

ハウスドルフ空間{X}に対し、不等式{|X|\leq 2^{\chi (X) L(X)}}が成り立つ。ただし{|X|}により{X}の濃度を表す。

 

(証明)

{x \in X}の基本近傍系であって、濃度が {\chi (X) }以下であるものを {\mathcal{U}_x}と置く。{\tau}を濃度が{\chi (X)L(X)}より大となる最小の順序数とする。つまり{ \tau = ( \chi (X)L(X) )^+ }

証明は二つの部分に分かれる。まずは{X}閉集合であって濃度が{2^{\chi (X)L(X)}}以下のものの{\tau }個の単調増加な族であって、諸々の条件を満たすものを構成する。次にそれらが{X}を被覆することを示して{X}の濃度を評価する。

 

まずは第一段階。

{X}閉集合の族{F_{\beta}, 0 \leq \beta \lt \tau }であって、次を満たすものを超限帰納法により構成する;

 (1) { 0 \leq \alpha \lt \beta \lt \tau }のとき{F_{\alpha} \subset F_{\beta}}

 (2) 任意の{\beta}について {|F_{\beta}| \leq 2^{\chi (X)L(X)}}

 (3) {\mathcal{U} \subset \bigcup \{ \mathcal{U}_x : x\in \bigcup_{\alpha \lt \beta }F_{\alpha} \} , |\mathcal{U}| \leq L(X) , X-\bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset}のとき{F_{\beta}-\bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset }

 

まず{X}の点{p}を適当にとって、{F_0 = \{ p \} }とする。

{0 \lt \beta \lt \tau }について、すべての{\alpha \lt \beta }に対して上の(1),(2),(3)を満たす{F_{\alpha}}が構成されているとする。

 {\mathcal{O} = \bigcup \{ \mathcal{U}_x : x\in \bigcup_{\alpha \lt \beta }F_{\alpha} \} }

 {\mathcal{U}' = \{ X-\bigcup\mathcal{U} : \mathcal{U} \subset \mathcal{O} , |\mathcal{U}| \leq L(X) , X-\bigcup\mathcal{U} \neq \emptyset \} }

と置く。

(2)より{|\mathcal{O}| \leq 2^{\chi (X)L(X)} }であり、よって{|\mathcal{U}'| \leq |\mathcal{O}|^{L(X)} = 2^{\chi (X)L(X)} }となる。

{V \in \mathcal{U}' }に対してその元{p(V) \in V}を選び{E = \{ p(V) : V \in \mathcal{U}' \} } と置けば

 {|E| = |\mathcal{U}'| \leq 2^{\chi (X)L(X)} }

であり、従って

 {\left| E \cup \left( \bigcup_{\alpha \lt \beta} F_{\alpha} \right) \right| \leq 2^{\chi (X)L(X)} }

となる。

 

{E \cup \left( \bigcup_{\alpha \lt \beta} F_{\alpha} \right) }の閉包の点の任意の近傍はまた{E \cup \left( \bigcup_{\alpha \lt \beta} F_{\alpha} \right) }の点の近傍となっていることから、

 {\left| \overline{E \cup \left( \bigcup_{\alpha \lt \beta} F_{\alpha} \right) }\right| \leq (2^{\chi (X)L(X)} )^{\chi (X)} = 2^{\chi (X)L(X)} }

がわかる。そこで{F_{\beta } = \overline{E \cup \left( \bigcup_{\alpha \lt \beta} F_{\alpha} \right) } }と置く。

このとき(1),(2)は明らかに満たされているから、(3)を満たすことを示そう。

 

{\mathcal{U} \subset \bigcup \{ \mathcal{U}_x : x\in \bigcup_{\alpha \lt \beta }F_{\alpha} \} , |\mathcal{U}| \leq L(X) , X-\bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset }となるよう{\mathcal{U}}をとる。すると{X-\bigcup \mathcal{U} \in \mathcal{U}'}であるので、

 {p( X-\bigcup \mathcal{U} ) \in E \cap ( X-\bigcup \mathcal{U} ) = E-\bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset }

よって{F_{\beta } - \bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset }がわかり、(3)が従う。

 

これにより超限帰納法が進行し、すべての{0 \leq \beta \lt \tau }に対して(1),(2),(3)を満たす閉集合の族{F_{\beta }}が構成された。

 

第二段階。{X = \bigcup \{ F_{\alpha } : 0 \leq \alpha \lt \tau \} }を示す。

 

{F = \bigcup \{ F_{\alpha } : 0 \leq \alpha \lt \tau \} }と置く。まずはこれが閉であることを示そう。そのために{x \in \overline{F} }を任意に取る。{\mathcal{U}_x}{\mathcal{U}_x = \{ U_{\gamma} : \gamma \in \Gamma \} , |\Gamma| \leq \chi (X) }{\Gamma }で添え字付ける。このとき任意の{\gamma \in \Gamma }に対して{U_{\gamma }\cap F \neq \emptyset}であるから、各{\gamma \in \Gamma }に対して{U_{\gamma} \cap F_{a(\gamma )} \neq \emptyset }となる{a(\gamma ) \lt \tau }が選べる。

{\beta = \sup \{ a(\gamma ) : \gamma \in \Gamma \} \lt \tau }と置く( {\Gamma \leq \chi (X) \lt (\chi (X)L(X))^+ = \tau }、つまり{\tau}は後続型基数であるから正則基数、従って{\beta \lt \tau}がわかる)。このとき (1) より、任意の{\gamma \in \Gamma}に対して{U_{\gamma} \cap F_{\beta} \neq \emptyset }であるから、すなわち{ x \in F_{\beta } \subset F }となる。よって{F}は閉。

 

次に{y\in X-F }を任意に取る。各{x \in F }に対して{ U(x) \in \mathcal{U}_x}を、{y \in X-U(x)}となるようにとる。このとき{F}は閉であるから{L(F) = L(X)}なので、{G\subset F}であって次を満たすものがある;

 {\mathcal{U} = \{ U(x) : x \in G \} }{F}の被覆であり{|G| \leq L(X)}となる。

{G \subset F = \bigcup \{ F_{\alpha } : 0 \leq \alpha \lt \tau \} }{|G| \leq L(X)}から、ある{\alpha \lt \tau }について{G \subset F_{\alpha} }となる。{\beta = \alpha + 1}と置こう。

すると

 {\mathcal{U} \subset \bigcup \{ \mathcal{U}_x : x \in F_{\alpha} \} = \bigcup \{ \mathcal{U}_x : x \in \bigcup_{\gamma \lt \beta }F_{\gamma } \} }

 {|\mathcal{U}| \leq L(X) , y \in X-\bigcup \mathcal{U} \neq \emptyset }

となる。

一方、{F_{\beta} \subset F \subset \bigcup \mathcal{U} }であるから{F_{\beta }- \bigcup\mathcal{U} = \emptyset }でありこれは (3) に反する。

従って{X = F}がわかった。

 

最後に、以上より

 {|X| = | \bigcup \{ F_{\alpha } : 0 \leq \alpha \lt \tau \} | \leq (\chi (X)L(X))^+ 2^{\chi (X)L(X)} = 2^{\chi (X)L(X)} }

となり、求める不等式を得る。◻︎

 

 

 

 

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ニコニコ大百科に書いたやつをそのままコピペしたものですが、見やすい版もあったほうがいいと思って。

 

 

 

アフィリエイトとかはうまく機能してるんだろうか?期待してないから別にいいのだけどついで程度で。 

 

 

 

【参考文献】

・J.Nagata , Modern General Topology Second revised edition , North-Holland (1985)

 

 

 

 

Hewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理

の証明を書こうと思います。読み方は、ヒューイット=マルツェフスキ=ポンディツェリ。

 

 

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【定義】

位相空間{X}に対し、稠密部分集合の濃度の最小値を{d(X)}と書き、{X}稠密度という。

 

【定理:Hewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理】

{X_a,a\in A}を、2点以上を有するハウスドルフ空間とし、各{a\in A}について{d(X_a) \leq \mathfrak{m}}であるとする。積空間{X=\prod \{ X_a : a\in A\} }について、{ d(X) \leq \mathfrak{m}}となるための必要十分条件{|A|\leq 2^\mathfrak{m}}である。

(証明)

必要性を示す。

{X_a}から二点{p_a,q_a}をとり、開集合{U_a}{p_a \in U_a \subset \overline{U_a} \subset X_a \setminus \{ q_a \} }となるようにとる。{\pi _a : X \to X_a}を射影とし、{P}{X}の稠密部分集合で{|P|\leq \mathfrak{m}}とする。

{a}について{f_a:P\to \{ 0,1\} }を、{f_a (p)=1 ( \pi _a (p) \in U_a ) , 0 (\pi _a (p) \in X_a\setminus U_a) }で定めると、対応{a\mapsto f_a }単射であるから、これにより{|A|\leq |2^P| = 2^\mathfrak{m}}がわかる。

十分性を示す。

{X_a}はすべて濃度{\mathfrak{m}}の離散集合、{A}を濃度{2^\mathfrak{m}}として、つまり{A=\{ 0,1\} ^\mathfrak{m}}として示せば十分。{X}{A}から濃度{\mathfrak{m}}の離散集合への写像全体に積位相を与えた空間と考える。{A}は二点の離散空間に積位相を与えた空間とし、{Y}を濃度{\mathfrak{m}}の離散空間とする。{\mathcal{U}}{A}の濃度{\mathfrak{m}}の開基として、{\mathcal{U}'}により{\mathcal{U}}の素な(どの2つも交わらない)有限個の開集合の族全体の集合を表すとする。{|\mathcal{U}'|=\mathfrak{m}}である。

一点{x_0 \in Y}を固定する。ある{\{ U_1,\cdots ,U_n \} \in \mathcal{U}'}に対して、各{U_i}上で定数であり、{z\in A\setminus \displaystyle \bigcup_{i=1}^n U_i}のとき{f(z)=x_0}となるような写像{f:A\to Y}の集合を{P}と置く。{|\mathcal{U}'|=\mathfrak{m}}であって{|Y|=\mathfrak{m}}であるから{|P|=\mathfrak{m}\mathfrak{m}=\mathfrak{m}}である。この{P}{X}で稠密であることを示せば良い。

{(x_a ) \in X}を任意に取る。相異なる{a_1,\cdots ,a_n \in A}をとれば、{A}はハウスドルフであって{\mathcal{U}}{A}の開基であるから{a_i \in U_i }となる{ \{ U_i \} \in \mathcal{U}'}がある。{f:A \to Y}{f(z)=x_{a_i} ( z\in U_i ) i=1,\cdots ,n , x_0 (z \not\in\displaystyle\bigcup_{i=1}^n U_i )}と定めると{f \in P}であるから、

 { f \in P \cap \{ ( x'_a) \in X : x'_{a_i}=x_{a_i}, i=1,2,...,n \} \neq \emptyset}

従って{(x_a) \in \overline{P}}となって{P}{X}で稠密。◻︎

 

 

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これ可分のときは上の{A}を実数だと思って示すんですよね。そのときは\mathcal{U}に相当するものを端が有理数の開区間として取ってくるのですが、実数であるということを考慮してこの辺をもう少し簡単にできます。

添え字集合に位相を入れて示すこの手法は面白いですよね。

 

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昨日ですべての試験が終了したので春休みになります。春休み中は一つだけ自主ゼミをします。

 

 

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おなかすいたぽよぽよ

 

 

 

【参考文献】

日本数学会『数学辞典 第4版』岩波書店 2007

・児玉之宏、永見啓応『位相空間論』岩波書店 1972

・J.Nagata , Modern General Topology , Second revised edition , North Holland , 1985

 

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無理数の集合の完備な距離の例とか

{(0,1)}の完備な距離

 {d(x,y)=\left| \displaystyle \frac{1}{x}-\frac{1}{y}+\frac{1}{x-1}-\frac{1}{y-1}\right|}

とか。

 

 

{\mathbb{R}}の完備でない距離

 {d(x,y)=|e^x-e^y|}

とか。{x_n=-n}はコーシー列。

 

 

{(0,\infty )}の完備な距離

 {d(x,y)=\left| \displaystyle \log \frac{x}{y} \right| }

とか。{x_n=1/n}はコーシー列でない。

 

 

 ・{\mathbb{Q}}の完備な距離

存在しない。あったとすればベールの範疇定理(リンクはWiki)から{\mathbb{Q}}は第二類。一方{\mathbb{Q}}は可算、一点集合は全疎だから即ち{\mathbb{Q}}は第一類。これは矛盾。

 

 

無理数の集合{\mathbb{P}=\mathbb{R} \setminus \mathbb{Q}}の完備な距離

{\mathbb{Q}}を整列して{\{ q_n : n \in \mathbb{N}\}}として、

{d(x,y)=|x-y|+ \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{2^n}\min \{ 1 , \left| \max_{i\leq n} \frac{1}{|x-q_i|}-\max_{i\leq n} \frac{1}{|y-q_i|} \right| \} }

距離になっていることは明らか。

位相が合致していること。任意に{x\in \mathbb{P} }と正の数{\varepsilon }をとり、{ \displaystyle \sum_{n=k}^\infty \frac{1}{2^n} \lt \displaystyle \frac{\varepsilon }{3} }となる自然数{k}をとる。{\displaystyle \sum_{n=1}^k \frac{1}{2^n}\min \{ 1 , \left| \max_{i\leq n} \frac{1}{|x-q_i|}-\max_{i\leq n} \frac{1}{|y-q_i|} \right| \} }は連続ゆえ、ある{\delta '}があって、

{|x-y| \lt \delta ' \Rightarrow \displaystyle \sum_{n=1}^k \frac{1}{2^n}\min \{ 1 , \left| \max_{i\leq n} \frac{1}{|x-q_i|}-\max_{i\leq n} \frac{1}{|y-q_i|} \right| \} \lt \frac{\varepsilon }{3} }

あとは{ \delta = \min \{ \varepsilon /3 , \delta '\} }とおけば、{ |x-y|\lt \delta \Rightarrow d(x,y) \lt \varepsilon }

完備性。この距離でコーシー列なら普通の距離でもコーシー列ゆえ{\mathbb{R}}では収束、従って有理数に収束する無理数の点列がこの距離でコーシー列とならないことを示せば良いがこれはほぼ明らか。

{(x_n)}有理数{q}に収束する無理数列とし、{q=q_N}なる自然数をとれば、{m\gt N ,k}について

{ \displaystyle \left| \max_{i\leq m} \frac{1}{|x_j-q_i|}-\max_{i\leq m} \frac{1}{|x_k-q_i|} \right| \to \infty \ (j \to \infty )}

だから各{k}に対して大きい{j}をとれば{d(x_j,x_k) \gt 1/2^N }

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

族正規でない完全正規空間

児玉永見に載っていた例です。

 

{P}非可算集合とし、{Q}をそのべき集合とする。{Q}上で自然数値(ただし{0}自然数に含めるとする)をとる写像全体を{X}とする。

{ p \in P }に対して、{ x_p:Q \to N , q \mapsto 1 \ ( p \in q ) , q \mapsto 0 \ ( p \not \in q ) }と定め、{X_0=\{ x_p : p\in P \} }と置く。{Q_0}{Q}の全ての有限部分集合の集合とする。

{X}に次で位相を定める;

 ・{x\not\in X_0}の各点はそれ一点が開である。

 ・{x_p\in X_0}{r\in Q_0}{n\in\omega}に対して、

  {V(x_p,r,n)=\{ x_p\}\cup \{ x : x(q)\geq n+1 \ (\forall q \in Q) , 2|(x(q) - x_p(q)) \ (q\in r) \}}

  と定義して、各{r\in Q_0}{n}に対する{V(x_p,r,n)}全体を{x_p}の近傍ベースとする。

  ただし、{2|(x(q) - x_p(q))}{2}で割り切れること、すなわち{x(q) - x_p(q)}が偶数であることを意味する。

{p,p'\in P, r,r'\in Q_0}とする。各{q\in r\cap r'}に対して{x_p(q)=x_{p'}(q)}が成り立つとき、任意の自然数{n,m}に対し{V(x_p,r,n)\cap V(x_{p'},r',m) \neq \emptyset}となる(*1)ことが容易にわかる。

 

{X}が完全正規であることを示す。

{X}{T_1}であることは容易に分かるので、正規であることを言う。{H_1,H_2}を交わらない閉集合とし、{A_i=X_0\cap H_i,i=1,2}と置く。

{A_1=\emptyset}ならば{H_1}は開かつ閉なのでこのときは良い。{A_1,A_2\neq \emptyset}とする。

{q_i=\{ p\in q: x_p\in A_i \},r=\{ q_1,q_2 \}}と置いて、

 {D_i=\bigcup \{ V(x_p,r,1):p\in q_i\} }

とおけば、これらは{A_i}{X}での素な近傍であるので、

 {U_1=H_1\cup (D_1-H_2),U_2=H_2\cup (D_2-H_1)}

とすればこれらが{H_1}の素な近傍となる。

完全正規であることを示すために任意に閉集合{H}をとりGδ集合であることを示す。

{r\in Q_0}を任意に取り、

 {G_n=\bigcup \{ V(x_p,r,n):x_p\in X_0\cap H \} \cup (H-X_0)}

とおけば{H=\bigcap_{n}G_n}となるので、以上より{H}はGδ。

これで完全正規であることがわかった。

 

・族正規でないことを示す。

Δ-システム補題(リンクはWiki)を使う。

{\{ \{ x_p \} : p\in P \} }は疎な閉集合族である。この各点の近傍からなる素な族{\{ V(x_p,r_p,n_p) : p\in P \} }は存在しないことを示そう。任意に{x_p,r_p,n_p}をとり、{P_0\subset P}に対して{\mathcal{V}(P_0)=\{ V(x_p,r_p,n_p) : p\in P_0 \}}とおく。

{P}は非可算であるから、⊿システム補題より{P}の非可算部分集合{P'}であって、次を満たすものがある:

 任意の{a,b\in P',a\neq b}に対し、{ r_a\cap r_b = \bigcap_{p\in P'} r_p}

{r'=\bigcap_{p\in P'}r_p}と置く。{r'\neq \emptyset}のときは(*1)から直ちに{\mathcal{V}(P')}が素でないことがわかる。よって{r'\neq \emptyset}である。

{r'}は有限集合であるから、非可算集合{P''\subset P'}であって、任意の{a,b\in P''}に対して{x_a(q)=x_b(q) \ (\forall q\in r'=a\cap b)}となるものがある。このとき (*1)より

 {V(x_a,r_a,n_a)\cap V(x_b,r_b,n_b)\neq \emptyset ,(\forall a,b \in P'')}

となり、{\mathcal{V}(P'')}は素でない。

以上から{\mathcal{V}(P)}は疎とはなり得ない。従って族正規でないことがわかる。◻︎ 

 

 

児玉之宏 永見啓応『位相空間論』岩波書店 1974年

 

パラコンパクト

位相ゼミでパラコンパクトについて少し勉強したので、それに関するまとめを作りました。付録に関しては勉強中だったり書きかけだったりしてアレですが、まあ付録以外はだいたいいけてるはずなので、とりあえず載せときます、はい。

 

www.dropbox.com

まあ難しいですね、難しい。日本人の名前がたくさん出てきて面白いですね。距離空間がパラコンパクトであることの証明を何も見ずに再現できるように練習します。

児玉之宏 永見啓応『位相空間論』岩波書店 1974年(5600円)