族正規でない完全正規空間
児玉永見に載っていた例です。
を非可算集合とし、をそのべき集合とする。上で自然数値(ただしは自然数に含めるとする)をとる写像全体をとする。
に対して、と定め、と置く。をの全ての有限部分集合の集合とする。
に次で位相を定める;
・の各点はそれ一点が開である。
・ととに対して、
と定義して、各とに対する全体をの近傍ベースとする。
ただし、はで割り切れること、すなわちが偶数であることを意味する。
とする。各に対してが成り立つとき、任意の自然数に対しとなる(*1)ことが容易にわかる。
・が完全正規であることを示す。
がであることは容易に分かるので、正規であることを言う。を交わらない閉集合とし、と置く。
ならばは開かつ閉なのでこのときは良い。とする。
と置いて、
とおけば、これらはのでの素な近傍であるので、
とすればこれらがの素な近傍となる。
完全正規であることを示すために任意に閉集合をとりGδ集合であることを示す。
を任意に取り、
とおけばとなるので、以上よりはGδ。
これで完全正規であることがわかった。
・族正規でないことを示す。
は疎な閉集合族である。この各点の近傍からなる素な族は存在しないことを示そう。任意にをとり、に対してとおく。
は非可算であるから、⊿システム補題よりの非可算部分集合であって、次を満たすものがある:
任意のに対し、
と置く。のときは(*1)から直ちにが素でないことがわかる。よってである。
は有限集合であるから、非可算集合であって、任意のに対してとなるものがある。このとき (*1)より
となり、は素でない。
以上からは疎とはなり得ない。従って族正規でないことがわかる。◻︎